現代医療のハナシ

医療事故対策のために

医療機関では、人間は誰でも間違えることがあるという前提に立った、医療事故・医療ミス軽減策が重要となります。2006年の法改正以降、医療機関は「安全管理のための指針」を作成して、安全対策に取り組むということになりました。
入院施設がある機関には、安全管理のための委員会の設置が義務付けられています。事故の統計はありませんが、国立系の病院と特定機能病院には、医療事故の発見数や内容の報告が義務付けられているのです。報告義務のある272機関が報告した事故は、年間で2100件以上ありました。そのなかで最も多いのが「療養上の世話」で、次に「治療措置」、ドレーンやチューブなど「用具等」のミスの順となりました。そのうち、死亡した事例は182件、障害残存の可能性が高いという事例も225件あります。
同じ医療事故や医療ミスを繰り返さないようなシステム作りが、医療機関の急務です。医療事故や医療ミスを防ぐためには、スタッフの個人レベル・病棟や機関全体・事故やミスを防ぐ器具や機械の開発と使用、この3つのレベルで対策を練る必要があります。スタッフ個人、そして病棟でできる対策は、ダブルチェック・トリプルチェックです。また、他施設と比較しつつ、手術や術後管理や投薬の方法を常に見直すようにするということも、死亡や合併症の軽減につながります。さらに、訴訟を防ぐためには、患者やその家族と十分なコミュニケーションを取るようにして、信頼関係を築いておくということが大切です。